造形方式の違い

造形方式の違い

3Dプリンタにはいくつかの種類があります。

● 熱溶解積層方式(FDM方式)
● 光造形方式(SLA方式/DLP方式)
● インクジェット方式: 霧状の樹脂を吹きつけレーザー光で硬化。
● 粉末焼結積層方式: 粉末樹脂・粉末金属をレーザーで溶融して造形。
● 粉末固着方式: 石膏材料。フルカラー造形が容易。

ここでは熱溶解積層方式と光造形方式の違いについて説明します。

光熱溶解積層方式

熱溶解積層方式(Fused Deposition Modeling)は、一般的にFDM方式と呼ばれます。FDMはストラタシス社の商標です。

FDM方式はABSやPLA、ポリカーボネートなどの素材を熱で溶かしながら積層して造形します。FDM方式は安価で小型のものが多いため導入が容易であり、光造形方式で用いられる材料に対して強度がある造形を得られます。

一方、積層痕が荒く、サポートの除去に手間がかかります。土台からせり出している部分や、傾斜した部分などオーバーハングの造形が不得意です。また、ノズルにフィラメントが詰まる故障が発生することが知られています。

光造形方式

光造形方式はSLA方式とDLP方式の2種類に分けられます。

● SLA方式(Stereolithography)
樹脂が入った槽にレーザー光を照射して、プレート上に造形を構築します。

● DLP方式(Digital Light Processing)
樹脂が入った槽にプロジェクタ光を照射して、プレート上に造形を構築します。
DLP方式は、米テキサス・インスツルメンツ社の登録商標です。

SLA方式とDLP方式の違いはレーザー光とプロジェクタ光の違いだけでなく、SLA方式は鉛筆で塗りつぶすように面を造形するのに対して、DLP方式は一度に光を照射して面を造形します。一般的に造形スピードはSLA方式よりもDLP方式の方が速いです。
光造形方式はFDM方式に対して造形精度が高く、滑らかな仕上がりの造形物が得られ、特にDLP方式は造形スピードが速いのが大きなメリットです。また樹脂を交換することで、多様な材質で造形できるのが特長です。

一方、樹脂を光で硬化させて造形する仕組みであるため、完成した造形物は直射日光に弱く、造形物を太陽光に当て続けると変形したり、ひび割れするなどの症状が発生します。光で硬化してしまうため、材料となる樹脂は暗いところに保管しなければならないため、取り扱いに注意が必要です。

光造形方式は樹脂を溜めた槽にプレートが設置され、レーザー光を照射したのちにプレートが一層分下がり(または上がる)、この工程を繰り返すことで造形を完成させます。この仕組みでは造形に必要のない多くの樹脂が槽に溜められている状態となりますが、ミッツ株式会社の3Dプリンタは造形シート上に樹脂を一層分塗布してプロジェクタ光により硬化させ、硬化しなかった部分の樹脂は槽の中へ回収されるため樹脂を無駄にしません。またシンプルな機構であるため故障が少なく、ユーザー自身によるメンテナンスが簡単なこともミッツの3Dプリンタはの大きな特長です。

まとめ

● FDM方式
・安価に導入が可能で、造形物の強度が優れている。
・積層痕が荒く、サポートの処理が面倒である。
・ノズルがつまる。

● DLP方式
・造形精度が高い。
・材質が多様である。
・光で樹脂を硬化させるため、直射日光に弱い。
・樹脂の取り扱いに注意が必要。

● ミッツ株式会社の3Dプリンタの特長
・DLP方式の3Dプリンタで造形スピードが速い。
・樹脂を無駄にしない。
・故障が少ない。
・メンテナンスが簡単。

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